80年代グラフィティ400その7 SUZUKI GSX-R400

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前回記事:80年代グラフィティ400その6 HONDA VF400F
80年代前半から始まったレプリカブームは400にも飛び火します。
そして登場したのがGSX-R400 でした。

それまでの常識を覆す性能

このバイク、当時ヨーロッパの耐久レースで活躍していたワークスマシンと瓜二つ。
カタログ写真はハーベーカラーってやつですが、シングルシートカバーとフルカウルにしたら奥のワークス耐久マシンとほんとそっくりになってしまいます。
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外観だけじゃありません。このクラスじゃ始めてアルミフレームにリンク式のリアサス。
スペックだけ見たって大変なもんです。車重なんて152kgしかないんです。
分かります、この凄さ? 今の250ロードスポーツのスタンダード、ニンジャ250とほとんど同じ。
しかもエンジンは自主規制いっぱいの59馬力。スペックだけで現行スポーツバイク超えちゃっているんですよ。

このバイクに始めて乗った時の感動は忘れられません。
エンジンのフィーリングがそれまでと全然違うんです。
まるっきりレーシングマシン。
スロットル開けるとバビュンと吹ける。スロットル戻すとストンと回転落ちる。
中速からの吹け上がりなんてもう750真っ青。
おんなじクラスのバイクじゃまったくついていけませんでした。
ストリートバイクこんなにしちゃいかんだろ、って真剣に思いました。それくらい速かったんです。

強烈なGSX-Rの思い出

当時、一緒に走っていた友人がいました。とっても速かったんですけど一人だけGS400。
時代遅れのマシンなものでいつもみんなにバカにされてて、それが相当に悔しかったらしく、ある日、先輩が買ったばかりのGSX-R400を無理矢理借りて遊びにきました。
せっかくなんで皆で走りに行ったんですが、もうどこに行ってもヒーローです。
「おぉ、これがGSX-Rかよ、すげぇな」
本人もとても嬉しそう。ただ、笑顔でいられたのも峠に行くまででした。
この友人、ドラムブレーキのGSにばかり乗っていたものでリアブレーキを強く踏む癖がありました。
さらに良くないことに、メッチャ峠で速いヤツでコーナーではビックリするくらいバイクを寝かします。
で、峠だから当然、コーナーが曲がりこんでいて真ん中で減速しなきゃいけない時とかあるわけです。
そいつ、フルバンクしているのにいつもの癖で思いっきりブレーキ踏んでしまいました。
しかもGSX-Rはスロットルを一気に戻すとストンと回転が落ちて強めのエンブレがかかります。
結果はもう言わなくても目に見えるようなももの。リアタイヤをロックさせてぶっ飛んでしまったんです。
「大丈夫かよ」
皆が傷だらけになったバイクを囲んで言います。本人は擦りむいただけ。
「気前のいい先輩だし平気だよ。謝れば。さあ続き行こう」
「えぇ、行くの? 帰った方が良くない?」
「せっかくここまで来たのに帰るのもったいないじゃん。オレは平気だから行こうよ」
とあくまで強きな友人。
それじゃあ、ってんで再び皆で走り出しました。
でも、曲がりこんだコーナーなんて、そこらじゅうにあるんですよね。
1時間もしないうちにドンカラガッシャンという音をたててまたぶっ飛んでしまいました。
「平気?」
「平気だよ、さ、行こう」
「えぇ、まだ行くのぉ?」
「1度転んだら2度転んだって変わんねーから。傷ついたとこがもう一度傷つくだけじゃん。転んだのが一回なのか二回なのかなんて言わなきゃわかんねーよ」
「そーお?」

誰も指摘しなかったけど左と右で一回ずつ転んでいる友人。
そして案の定、またぶっ飛んでしまいました。
三回目はかなりの高速コーナー。
カウルは割れてサイレンサーギタギタ。ステップなんて千切れてしまってます。
「そろそろオレ、帰るわ」
「そうだな、オレ達も帰る」

もうまったく走る気がなくなってしまった我々でした。
その友人とはその後まったく会っていません。
気前のいいと言っていた先輩とどうなったか気になりましたが、なんか気まずくて聞けずじまいでした。
そいつ、空手部で、先輩がメッチャ怖そうな人だって、わたし知っていたもんですから。
とっても強烈なGSX-Rの思い出でした。
実はわたし、初期型GSX-R400にもう一回乗りたいと思ってます。
400クラスであれだけ過激で思いっきり作られたバイクっていうのは他になくて、だからもう一度思いっきり走らせてみたいと思うんです。
でもあの当時のレプリカって全然大事にされていなくて、だから程度の良いマシンがとても少ない。
なんか青春時代の思い出がボロボロになっているみたいな気がして、ちょっと悲しくなってしまったのでした。