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初の北海道ツーリングは忍耐との勝負?!バイク歴1年の大学生ライダーが北海道ソロツーへ行ったらこうなった〜前編〜

ツーリングの聖地と言えば?という質問に北海道!と答えるライダーは多いと思います。
ライダーなら一度は行ってみたい憧れの地…。

しかしルートやスポットにもよりますが、実際北海道に行って味わえる、感じられる感情は人それぞれ。
今回はバイクに乗り始めて1年の大学生ライダーが初めての北海道で体感した等身大の北海道ツーリングの記録をお届けします!

どうして北海道に行くのか?


シャトルラン。
キャンプツーリング。
持久走。

これらには一つの共通点があります。

それは「きつい」ということです。

遡ること10年前、当時小学四年生だった私は、シャトルランで次々に離脱していく同級生を見ながらこう思っていました。

「なぜみんな限界を迎える前に辞めてしまうのだろう」
「死にそうな思いをしたその先に信じられない程の達成感が待っているというのに」

「いや凄いね」「頑張ったね」

顔を真っ赤にして横になる私の姿を見て、皆が労いの言葉を掛けてくれました。

けれど、違うのです。
凄く無い、頑張って無い。
鉄の味がする口内、はじけそうな肺、それらを耐えた向こう側の景色を見たい。
そんな欲望に忠実な、達成感に憑りつかれた悲しきモンスターなのです。

その考えは、この記事を書いている現在でも変わっていません。
ですから、私が北海道に求めているのは、絶景でも、グルメでもありません。

連日移動し、野宿をし続けた先にある達成感なのです。

日本で一番長いと言われる東北自動車道。
「もうわかったから」と言いたくなるほど続く北海道の地平線。
200kmは離れている観光地と観光地。

達成したい。

そう思った私は、バイトを掛け持ちし、ファミレスでは一番安いドリアしか頼まないで、お金を貯め、北海道(達成感)に向けて着々と用意を進めたのでした。

冷静になった自分からの声:実はグルメも絶景も堪能しています。

敬意をもって東北道と対峙せよ

先にも述べた通り、私の求める達成感を得るためには、きつくなければいけません。

そこで私は考えました。バイトに行った後、徹夜で東北道を走り切るのはどうだろうか、と。

いやちゃんと寝てから行けよ。過去の自分に会えるならそう優しく諭してあげたいところですが、そうもいきません。

以下、写真とメモに残されていたリアルタイムの声をお楽しみください。

21:00帰宅。
22:00出発。
23:00。長距離トラックのもたらす突風に揺られながら、始まりの地、川口JCTに到着。「浦和」と書かれたきっぷ貰い、タンクバックに慎重にしまう。
0:48。那須高原SA。「帰りたい」の四文字を抑え込みながら休憩。

2:46。ドラマチックエリア国見。やけに劇的な名前にムカつきながら、「過酷、やめたい、何してんの自分」(スマホにあった動画より)と言いながら何故かトイレを撮影。

4:11。全行程の半分、仙台付近に到着。
5:28。眠気覚ましのため、松本明子「♂×♀×Kiss」を歌いながらバイクに乗る。ヘルメットが唾くさくなる。
6:31。疲労と眠気にイラつく。SAでは「岩手県 クソ」「岩手県 南北に長いだけ」「岩手県 魅力ゼロ」と検索していた。

8:54。東北道走破。「遠くからぎだねぇ(方言)」を聞きちょっと嬉しくなる。
10:10。青森県横浜町大豆田に到着。陸奥湾を眺めながらつかの間の達成感に浸る。

東北道を走り切った時点で、私の達成感は満たされたも同然でした。

あれ別に北海道行く理由なくね、という考えを無理やり押し込みながら、大間フェリーターミナルを目指します。

冷静になった自分からの声:達成感などと抜かしていますが、費用を少しでも減らしたいというドケチ魂から高速を選んでいたりいなかったり。
ちなみに復路は苫小牧発大洗着のフェリーで帰宅しました。目先の一万円をケチった結果がこれか、と改めて自分のバカさを痛感しました。フェリー is the best

う回路に気を付けろ!

突然ですが、クイズです。AからBに行くとき、一番近い経路はどれでしょう?

そんなの1に決まってるじゃないか。そう思ったあなた、赤線をよく見てください。赤い×がついていますよね? この道、通行止めで通ることができません。

じゃあ2だ2! そう思ったあなた。不正解です。2の線をよく見てください。先ほどと同じく通行止めです。通れません。

そう、正解は3。最も遠い3が正解だなんて、私も信じられません。

それでは、今のマップを青森に当てはめて考えてみましょう。

実はこれ、私が北海道上陸までに経験したことなのです。

「現在う回路をご案内しておりまして」
「先ほど案内したう回路が通行止めになりまして別のう回路をご案内しております」

フェリー会社からの電話が来るごとに、北海道が遠のき、乗り遅れる危険性が増す恐怖。
何もない青森で死にたくないよ。私は泣きそうでした。

慎重にバイクを操作し、ようやっとフェリーに乗船したのは出発の15分前でした。

バイクを船に縛り付けている際、「汚っ」と手に着いた砂をフェリー会社の方がぬぐった姿、すごくショックでした。

あんなに頑張って走ったのに…。

冷静になった自分からの声:フェリー会社の方は親切に「今日ではなく明日の早朝の便に変えますか?」と通行止めを考慮してくれました。なのにこのバカ、「いや、ダイジョブっす」と強がったみたいです。被害者面してんじゃねぇよ、お前の選択が悪いんだよ、と思います。弱さを出すって大事☆

初めてのライダーハウス宿泊

ライダーハウスに宿泊して、旅人と語り合いたい。

そしてできればローカル情報をゲットして食費などの費用を抑えたい。

そう思って調べ出すと、「オーナーが良い人」「ライダーハウスの鏡」等、私が全幅の信頼を寄せるgooglemapの評価が高いライダーハウスを見つけました。

着くと、そこはどこにでもある一軒家でした。

めっちゃおばあちゃん家だな、なんて思いながら中を進むと私の他にもう一人先輩ライダーが宿泊しており、「飲もうよ」となんて言ってくれるではありませんか。

「これこれ!」と内心喜びながら「えー、いいですよ」とあっさり断る私。

「いいからいいから」「えーいいですよ」

2,3回同じやり取りをしたのち、ようやっと席に着き、何も知らない私にたくさんのグルメと絶景、旅の体験談を教えてくれました。

(↓実際に行きました!綺麗!!)

自分は今、バイクという共通言語があるからここにいられるんだ。

ライダーハウスに漂う連帯感に胸がじんと熱くなりました。

ライダーハウスは耳栓必須

じゃあ、おやすみなさい。そう言って眠ろうとした私は、大切なことを思い出しました。

俺、寝言酷いんだった。

翌日のルート設定まで協力して頂いたのに、あんなに楽しくお話したのに、およそ寝ているとは思えないような声量で寝言を発して、先輩ライダーに迷惑をかけてしまうかもしれない。

まさに恩を仇で返す。そして何より、寝言がヤバめなことを知られるのが恥ずかしい。

自意識にがんじがらめになりながら、薄い布団に入り、一時間程度が経過したころ、私は自分の耳を疑いました。

くごぉぉぉぉぉ、ぐごぉぉぉぉぉ、スピッ、くごぉぉぉぉ、ぐごぉぉぉ。
スピッ、スピッ、ぐごごごおおおおお。すごっ、すごっ、ぐびびびびび。

全っっ然、寝れない。
途中息の根を止めてやろうとまで思いましたが、それって犯罪じゃん、と気づき、そっとしておいてあげることにしました。

「もうライダーハウスなんて二度と泊まらない」
逃げるようにライダーハウスを後にしたのも今となってはいい思い出です。

冷静になった自分からの声:ライダーハウス泊まるなら耳栓必須です。次北海道に行く機会があれば、別のライダーハウスに泊まりたいな、と意外と恋しくなったりしています。人間って面白い★

写真の罠にはめられる

こぼれそうなほどたっぷりと盛られた新鮮な海鮮を安く食べられる。

北海道の海鮮にそんなイメージを持つ方は多いのではないでしょうか。

かくいう私もその一人でした。
とにかく濃厚なウニ! ウニが食べたい!

そんな思いは一秒ごとに強くなっていき、前日眠れなかった自分を励ます意味も込めてうに丼を食べることにしました。

2500円か。
一度の食事で二時間半分の労働が消えちゃうってことじゃん。

券売機と対峙した私はその事実に怯みましたが、うにの誘惑にあらがうことができず、ボタンを押してしまいました。

歯を食いしばりながら半券を取り、「でも海鮮だから」「普段食べられないものだから」と自分を納得させながら席に着き――

○○番の方ー!

速い。速すぎる。半券を出してから食事が提供されるのが牛丼よりも速い。
なんか、もっと、2500円の重みを持たせて、ゆっくり、ゆっくり、作るべきではないか。
とはいえ海鮮だ。それほど複雑な調理ではないのかもしれない。いや、それにしたって速すぎじゃないか?

そんな不安を抱いたまま、受け取り口に向かいました。

何この白米の輪っかは。

差し出されたうに丼をしばらく凝視してしまうほど私は驚きました。

ま、ま、ま、まあ、大事なのは味でしょ。
味がおいしければそれで満足なんだからも~勘弁してよ驚かさないでよ~と目の前のうに丼とイチャイチャしながら一口目を頬張ります。

2500円で、コレ?

¥2500。2500円。二千五百円。時給1000円で2時間半労働した対価。
食べれば食べるほど一度の昼食で2500円を支払ったという事実、それに対する不甲斐なさと怒りが頭を埋め尽くしました。
「もう、うに丼なんて二度と食べない。うに丼屋と吉野家が並んでいたら迷わず吉野家に入ってやる」断固たる決意で私は店を後にしました。

冷静になった自分からの声:セイコーマートのホットスナックでから揚げを食べれば間違いないです。はてーしーないー♪おおーぞらーをー♪

次回、初の北海道ツーリング後編

「海鮮とか? 食べた?」そう聞かれ、私は誇らしげにこう答えました。
「あー、海鮮ね、2500円したんだけど、それ相応にうまかったよ」

何ということでしょう。あんな痛い目にあったのに、記憶を捏造し、うに丼を選択した過去の自分を肯定したのです。

人間の納得させる能力って怖い、って思いました。

後編は、「おじさんがレッカーされるのを目の当たりにする」「道東で半べそをかく」です。

この記事をかいた人

高野創太アイコン

20歳大学生。愛車はSR400です。主にキャンプツーリングと近所の徘徊にバイクを使用しています。

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