エンジンの冷やし方は空冷・水冷・油冷の三択!それぞれの違いと何が変わるのか解説!
バイクのエンジンは温度を下げるための冷却機能があります。
走行風で冷やす空冷、エンジン内で冷却水を循環させて冷却する水冷がメジャーな冷却方式。
中にはスズキの油冷など特殊な冷却方式もあります。
今回はそんなエンジンの冷却方式とはどういうものなのか、それによって何が変わるのかを解説していきます!
一番シンプルで美しい空冷
空冷エンジンは走行風を使って冷却する方式です。
一番発熱するシリンダーには空気が多く当たるように冷却フィンが付いています。
無駄な部品がなくシンプルな構造なのでエンジンの重量を軽くすることができます。
またこの空冷フィンは造形美としての魅力もあるため、それが好きで空冷のバイクを選ぶ方も少なくありません。
その反面走っていないと走行風が当たらず冷えないため、冷却が安定しないというデメリットもあります。
またシンプルがゆえ、エンジンのメカノイズが外に漏れてしまったり、シリンダーフィンが振動して音が出てしまうことも。
昔はそんなこと気にしない時代でしたが、今となっては騒音的には不利な冷却方式となってしまいました。
空冷4発の迫力あるフィーリング
人気旧車の部類に入るCB750fourやZ1など、名だたる旧車はほとんど空冷エンジンです。
昔のバイクなので当然なんですが、旧車でよく言われる空冷エンジンならではのフィーリングというのは空冷エンジンだから、というわけではありません。
昔のバイクは点火タイミングがバラついていて、4発が揃っていなかったために生まれる迫力であって、そうなっている時代のバイクが空冷というだけなんです。
なので空冷なら昔のバイクのようなフィーリングになる、というわけではなく今の空冷は水冷とほとんど同じようなフィーリングになっています。
安定した冷却ができる水冷
水冷はエンジンの中に水路を作って冷却水を循環させて冷却する方式です。
車のエンジンなどもほとんどが水冷エンジンです。
こちらも走行風によってラジエターが冷えて冷却水も冷やされるので、走って走行風を当てる必要がありますが、空冷ほどではありません。
なので安定した冷却をすることができます。
また、空冷と違ってエンジン全体を水路で覆っているようなもの(通称ウォータージャケット)なので、メカノイズが外に漏れにくく、静音性にも貢献しています。
今のバイクはほとんどがこの水冷のエンジンが採用されています。
空冷と水冷のいいとこ取りをした油冷
極端に言うと、パーツ点数が少なく軽くできる空冷と、重いけど安定した冷却ができて高出力にできる水冷は相反するものがあります。
そこでスズキがどっちの良さも取り入れたのが油冷という冷やし方。
エンジンオイルの吐出量を増やして熱くなっている部分に吹きかけ、オイルによって内部からエンジンを冷却する油冷は安定した冷却をすることができ、水冷ほどのパーツは必要ありません。
近年登場したジクサー250SFにも油冷は採用されていますが、油冷が始まった当初とは全く違い、水冷のようにエンジンの回りにオイルが通る通路を設けて冷却するというもの。
水冷よりは劣る冷却方式ですが、ジクサーは高出力エンジンではないため、この油冷でも十分に冷やすことができます。
今のバイクは基本水冷
80年代前半までのバイクはほとんどが空冷エンジンでしたが、水冷が主流になってから現在ではほとんどのバイクが水冷エンジンです。
そっちのほうが効率がいいから、という理由もあるんですが、実はもう一つ大きな理由があって、それは排ガス規制。
要は排ガスを綺麗にしないとこの規制をクリアして販売できないんですが、空冷エンジンは水冷ほど突き詰めた制御ができず、必ずきれいなガスにすることができませんでした。
マフラーの中に入っている触媒という排ガスを綺麗にするフィルターは排気温度が高くないと効果を発揮できず、空冷エンジンの場合安定して高い温度の排気にすることができません。
水冷はその点空冷では耐えられない温度になっても冷やすことができ、常に安定した排ガスの温度にできるため、昔から続いたロングセラーの空冷車が突然姿を消したのもこれが理由です。
ですが現在でもGB350など一部では空冷エンジンが採用されており、排ガス規制をクリアしているため、今の空冷エンジンは昔の空冷よりもずっと高性能できれいなガスを排気できるエンジンとなっています。
どの冷却方式がベスト?
冷却方式でバイクを選ぶという方も中々少ないかもしれませんが、敢えて決めるとしたら、今から乗るならこれから無くなっていくであろう空冷に今のうちに乗っておいたほうが得かもしれません。
これから規制がもっと厳しくなっていくと空冷エンジンはますます作れなくなってしまうため、今後空冷のバイクは無くなっていくでしょう。
もし今欲しいバイクがあって、それが空冷なら、乗れなくなるうちに乗っておいたほうが良いと思います。
後から水冷に乗るよりも、最初空冷に乗ってそれから水冷に乗るとテクノロジーの進歩が体感できるはずです(昔の空冷の場合)。
どちらも面白いバイクがたくさんあるので、空冷がまだ乗れるうちは冷却を気にしてバイクを選んでみても面白いかもしれません!
この記事をかいた人
28歳MotoBe編集長。愛車はRA125、SR400、MHR、NSR250R(MC21)※組立中など大の旧車、2スト好きでもある。バイクに関するWeb記事、雑誌、ライトな写真撮影、脚本、イベントなど何でも編集屋さん。 関連記事:【バイクの魅力】バイクに乗り始めた理由は?「バイクがあれば色んな遊びができるから」ケース1(編集長)